手打ち蕎麦といえば信州か江戸前というのが定番ですが、別にどこで食べようと人に文句を言われることはないでしょう。でも、おいしい蕎麦を食べようと思ったらそれなりの労力が必要で、自分の好みにあった蕎麦屋が近くにあれば別ですが、そうでなければ遠方まで出かけるか、通販などで取り寄せるなどの努力が必要になります。夏場にキリッと冷やしたザルソバとか、寒い冬に食べる掛蕎麦、または年越しソバなどそばという食べ物はどんな季節に食べてもかまわない日本人好みの麺類です。おいしい蕎麦をいつでも好きなときに食べたい、でも良い店が近所にはない、またはあまり懐に余裕がないという場合、ひとつの解決策があります。自分で手打ち蕎麦を打ってしまうのです。手打ちというと年配の富裕層の男性の老後の趣味のようで、高価な専用包丁などの道具が頭に浮かびますが、もともと蕎麦というのは農民が普通に台所で作っていた料理です。過程にあるまな板、包丁、ボウルなどでも十分作ることができます。もちろん専用の道具には高価なだけあって余計な手間を省いてくれたり使い勝手が良かったりしますが、ちょっとした工夫と裏技を使うことによって、普通の道具でも格段に手間が少なくなります。そもそも、初めて挑戦するのに高価な手打ち蕎麦の道具を購入するのはちょっともったいないです。もし蕎麦が好きというのであればぜひ一度は自分で手打ち蕎麦に挑戦してみましょう。スーパーで買った安い乾麺を茹でるだけとか、フードコートのクタクタのソバなんかとははっきりいって別物です。

手打ち蕎麦の道具と裏技

手打ち蕎麦の道具にはさまざまな専用のものがありますが、これから初心者が「とりあえず」始める場合、こね鉢や緬きり用の包丁など、特別な道具は不要です。大きなこね鉢や台があると便利ですが、それだったテーブルをきれいに拭けば問題なく使えます。食事をしたりものを乗せているテーブルに直接そば粉や生地を置いてこねるのは衛生面で不安と感じる場合はホームセンターで1m四方程度のプラ板を買って使うと良いでしょう。私は2mm程の厚さの透明なものを使っていますが、使い終わったらたわしでこすって熱湯消毒しています。普段は調理器具の隙間に入れて保管し、使う前にも熱湯消毒をしています。最初、使う前は蕎麦を手打ちしている最中に浮き上がったりしないか心配だったのですが、空気圧が働くので何の支障もなくこねたり切ったりの作業ができています。蕎麦を切る時はその板の上に普通サイズのまな板を縦方向に置いて、少しずつずらしながら切ります。蕎麦生地を切り分けるのは普通の包丁です。初心者が一番気を付けるべきポイントは、生地の水分量です。多すぎるとベチャベチャになりますし、少なすぎると乾燥して麺が折れてしまいます。ですので、粉と水の量はレシピ通りに厳密に計量すると良いでしょう。ただし、プロは季節や天候によって水分量を調整しています。こだわりたい場合は打つたびに温度や天候と麺の出来上がりを記録しておくと自分だけのレシピを作ることができます。何よりも正確な計量をこころがけましょう。ちなみに、私は粉200グラムに対して水は90ml程度を基本レシピとして微調整しています。

手打ち蕎麦の重要なポイントとは?

粉に水を加えたら手良くこねます。うどんに比べて生地が柔らかいいので扱いやすいです。生地にツヤが出たら延ばし始めます。手の平で押しつぶすようにしてから麺棒を使います。四角形になるように何度も角度を変え、厚さ2mm程度まで延ばします。麺棒を使っている間も生地は乾燥し続けているので、手早く伸ばしましょう。適度な打ち粉は必要ですが多すぎると水分を奪い取る原因なので注意が必要です。生地を延ばし終えたら”切り”に入ります。生地を包丁の幅に打ち粉をして折り畳みます。折る回数は少ない程良いですが、これは包丁にあわせざるを得ません。幅は2mmで均等に切るのがコツです。切り終えたらできるだけ早く茹でます。蕎麦を茹でる際のコツはなるべく大きな鍋を用意すること、打ち粉をしっかり落としてから茹でることです。鍋が小さいと、麺がくっついたり茹でムラができてしまったりします。打ち粉が残っている茹で上がってから麺を洗ってもどことなく粉っぽく感じるので、十分注意が必要です。茹で時間は、最初は蕎麦粉のレシピに記載してある通りの茹で時間を守るのが良いでしょう。経験値を積むためには、茹でながら麺を二本ずつくらい”味見”してみるといいでしょう。乾麺と違って茹で上がりが早いので時間との勝負になりますが、味見と実際に食べる時には歯ごたえが変わりますので、この差をイメージできるようにするのが大切です。蕎麦の太さによって茹で具合にばらつきがでてしまいます。”切り”の段階で太さを均一にすることが重要なのはこのためです。